トラリピを運用していると、注文画面の「決済トレール」のチェックを入れるべきか迷う場面が出てきます。この記事は、すでにトラリピを始めていて決済トレールをオンにすべきか判断したいFX初心者の方に向けた解説です。結論から言えば決済トレールは、トレンドが続く相場で利益を伸ばす機能である一方、レンジ相場やマイナススワップ運用、狭い値幅では取りこぼしや保有長期化で不利になるため、通貨ペア別のトレール幅と相場・スワップの向きで使い分けるべき機能です。
この記事の要点
- 決済トレールは、利確の位置を相場に追従させてトレンド相場で利益を伸ばす機能です。
- トレール幅は通貨ペアごとに固定(対円0.200円・ランド/リラ0.100円・ペソ0.050円)で、変更できません。
- レンジ相場・マイナススワップ運用・狭い値幅では、取りこぼしや保有長期化でかえって不利になります。
トラリピの決済トレールとは何かを仕組みから理解する

決済トレールは、トラリピで決済(利確)する価格を相場の動きに合わせて追いかけさせ、トレンド相場での利益拡大をねらう機能です。マネースクエアの特許機能で、同じリピート系の自動売買でも他社の注文では使えないのが前提になります。通常のトラリピが「決まった利確幅に届いたら即決済」なのに対し、決済トレールは「利確幅に届いてもすぐ決済せず、相場が伸びる間は利確位置も一緒に持ち上げ、反転して追いかけた位置を割り込んだら決済する」という挙動になります。
向くか向かないかは、相場がトレンドかレンジか、そして運用する通貨ペアのトレール幅で決まります。
つまり決済トレールは常に得をする上位互換ではなく、トレンドが伸びる相場では利益を上乗せできる一方、往復の多い相場では決済が遅れて取りこぼしが増える、トレードオフのある機能です。オンにすべきかは、自分の運用スタイルと相場観に照らして判断する必要があります。この記事では、その判断に必要な仕組み・設定・通貨ペア別の効き方を順番に押さえていきます。
通常のトラリピ決済との違い(メリット)
まずは通常決済と決済トレールが、利確のタイミングでどう違うのかを押さえます。ここを理解すると、なぜトレンドで強くレンジで弱いのかが腑に落ちます。
利確幅に届いた後も利益を伸ばせる
通常のトラリピは、設定した利確幅に到達した瞬間に決済が成立します。一方の決済トレールは、利確幅に到達してもそこでは決済せず、相場が伸び続ける間は利確の位置も一緒に持ち上がっていきます。買いポジションなら、相場が上昇するたびに決済予定価格も追従し、上昇が止まって反転し、追いかけてきた価格を割り込んだ時点で決済されます。
そのため、強い上昇トレンドが続く局面では、通常決済なら数十pipsで終わっていた利益を、トレンドの最後まで引っ張って伸ばせる余地が生まれます。これが決済トレール最大のメリットで、トレンドが素直に伸びる相場ほど効果が出ます。逆に言えば、トレンドが途中で止まればこの上乗せは得られないため、効果はあくまで相場次第という前提を忘れないことが大切です。
設定はチェック一つで完結する手軽さ
決済トレールは、トラリピの注文画面で「決済トレール」の項目にチェックを付けるだけで有効になります。複雑なパラメータ入力は不要で、トレール幅も通貨ペアごとに自動で適用されるため、FX初心者でも操作でつまずく要素はほとんどありません。新しい注文方法を覚え直す必要がないので、すでにトラリピを使っている人ならすぐに試せます。
さらに、運用を始めた後でもトラリピ管理表からオン・オフを切り替えられます。相場がトレンドからレンジに変わったと感じたらオフにする、トレンドが出てきたらオンにする、といった調整が後から効くのは扱いやすい点です。切り替えは新しく成立する注文への反映が基本となるため、変更後の最初の決済がどう動いたかを履歴で確認しておくと安心です。
裁量で利確を粘る手間を機能が肩代わりする
トレンドで利益を伸ばそうとすると、裁量取引なら「どこまで持つか」を自分で監視し続ける必要があります。決済トレールは、その「伸びる間は持ち、反転したら離す」という動きを機能側が自動でこなしてくれます。仕事中でチャートを見られない人でも、トレンドの利益取りを取りこぼしにくくなるのは実用的な利点です。
もっとも、自動である分だけ「どこで決済されたか」を後から把握しにくい面もあります。約定履歴で決済価格を確認し、想定どおりトレンドを取れていたかを振り返る習慣を持つと、オン・オフの判断精度が上がっていきます。最初のうちは少額で試し、トレールありとなしで結果がどう変わるかを比べてみると、自分の運用に合うかどうかが体感でわかってきます。
トレーリングストップとの違いを誤解しない
決済トレールは名前が似ているため、損失を抑えるトレーリングストップと混同されがちです。両者は目的が逆なので、ここを取り違えると運用方針がぶれてしまいます。前者は利益を伸ばす攻めの機能、後者は損失を限定する守りの機能という違いを、最初に押さえておきましょう。混同したまま使うと、守りの保険のつもりでオンにしたのに実際は決済が遠ざかっていた、という想定外につながります。
決済トレールは利益を伸ばす方向の機能
一般的なトレーリングストップは、含み益が出たあとに損切りラインを利益方向へ動かし、利益を確保しつつ下落から守る使い方が中心です。一方トラリピの決済トレールは、利確のタイミングを後ろにずらして、トレンドが続く間は利益を伸ばし続けることを狙います。守りではなく攻めの機能だと整理すると理解しやすくなります。
このため、決済トレールは「損失を限定する保険」ではありません。含み益を伸ばす可能性と引き換えに、トレンドが続かなければ利益を取り損ねるリスクを受け入れる機能だと押さえておきましょう。損切りの役割は別途、レンジ設定や証拠金管理など、トラリピ本体の設計で担う必要があります。守りと攻めの役割を取り違えると、リスク管理が手薄なまま運用してしまう恐れがあるので注意してください。
トラリピの仕組みと組み合わせて働く
決済トレールは単独の注文ではなく、トラリピのリピート注文に上乗せして働きます。レンジ内に並べた複数の注文それぞれが、利確の段階で決済トレールの挙動に切り替わるイメージです。だからこそ、レンジの設計や利確幅といったトラリピ本体の設定と切り離して考えることはできません。
本体のレンジ・本数・利確幅がトレンド向きに組まれているかどうかで、決済トレールの効き方も変わります。機能だけを見るのではなく、トラリピ全体の設計の一部として位置づけて判断することが大切です。土台の設定が噛み合っていなければ、トレールだけを足しても期待した効果は得られません。
決済トレールが「不発」と言われる理由(デメリット)
決済トレールには、検索でも「不発が多い」という運用者の声が目立ちます。仕組み上避けられないデメリットを具体的に見ていきます。
注意
決済トレールをオンにしたトラリピは、通常のトラリピと比べて、レートがトレール幅ぶん余計に動かないと利益を取り損ねる性質があります。相場が往復するだけの局面では、利確幅に届いても決済されず保有が続くことになります。
利確が遠ざかり取りこぼしが起きる
決済トレールは、利確幅に届いてからさらにトレール幅ぶん相場が伸びて反転しないと決済が成立しません。対円通貨ペアならトレール幅は0.200円なので、利確ラインに届いた後、最低でも20pips前後の追加の値動きが必要になる計算です。トレンドが続かずに反転すると、いったん含み益が乗ったのに通常決済より少ない利益で終わる、もしくは利益を取り損ねたまま含み益が消える事態が起こります。
運用ブログでは、利確できたはずの利益が、トレール待ちのあいだに相場が下げて目減りした、という取りこぼしの例も語られています。レンジ相場ではこの取りこぼしが積み重なりやすいのが弱点です。1回あたりの目減りは小さく見えても、利確回数の多いトラリピでは合計でじわじわ効いてくるため、軽視できません。
保有が長期化しマイナススワップが膨らむ
決済トレールは決済を先送りする機能なので、結果としてポジションの保有期間が伸びます。スワップポイントがプラスの通貨ペア・方向なら保有が伸びてもスワップ収入が増えますが、マイナススワップの建玉では話が逆になります。決済を待つあいだ、日々マイナススワップが差し引かれ続け、利益を伸ばすつもりがコストでじわじわ削られます。
そのため、マイナススワップになる方向で運用している場合は、決済トレールはオフにしたほうが無難です。利益を伸ばす効果より、保有長期化によるスワップ負けのほうが効いてくる場面が出てきます。スワップは日をまたぐたびに発生するので、決済を何日も待つほどコストがかさみ、トレンドで得た上乗せを打ち消してしまうこともあります。
急変時はスリッページでマイナス決済もある
決済トレールは反転を検知して決済しますが、相場が急に飛ぶ窓開けや指標直後は、想定どおりに約定するとは限りません。公式でも、約定時にスリッページが発生して決済損益がマイナスになる可能性があるとされています。
こうした急変リスクは自動売買全般の注意点ですが、決済が後ろ倒しになるぶん、急変に巻き込まれる時間が長くなる点は意識しておきましょう。重要指標の前後は値動きが荒れやすいので、相場カレンダーを確認しておくと安心です。
主なメリットとデメリットを一覧で整理する
ここまでのメリットとデメリットを、次の表に一覧でまとめます。決済トレールは利益拡大をねらえる一方で、苦手な相場やコスト面の注意点があります。表で見比べると、自分の運用がどちらの性質を強く受けやすいかがより明確になります。設定の前に、自分の運用がどちらの性質を強く受けやすいかを確認しておきましょう。
| 項目 | 内容 | 補足 |
|---|---|---|
| 機能の目的 | トレンド相場での利益拡大 | 利確位置を相場に追従させる |
| 提供元 | マネースクエア(特許機能) | トラリピ独自・他社リピート注文では不可 |
| 設定方法 | 注文時にチェックを付けるだけ | 管理表で運用中もオン・オフ可 |
| トレール幅 | 通貨ペアごとに固定 | 変更不可(次章で詳述) |
| 苦手な相場 | レンジ・往復相場 | 取りこぼしが増える |
決済トレールの設定方法と効果が出る条件

ここでは実際の設定手順と、効果が出る相場・出ない相場の見分け方を整理します。手順自体は単純なので、ポイントはどんな相場でオンにするかの判断にあります。
決済トレールありで運用していたが、割と不発が多いのでなしに変更した。トレンドが続かないと利確が遠ざかるだけだった。
(トラリピ運用ブログより)
設定の手順とオン・オフの切り替え
決済トレールは、注文時のチェックと管理表でのオン・オフ切り替えだけで運用できます。難しい設定値は不要なので、迷うのは操作ではなく「どの局面でオンにするか」です。手順そのものは数クリックで終わるため、ここでは操作の流れを押さえつつ、切り替えのタイミングをどう考えるかまでをセットで確認します。
新規注文時にチェックを付ける
新規でトラリピを仕掛けるときは、注文設定画面の「決済トレール」にチェックを入れて発注します。トラリピは通貨ペア・レンジ・本数・利確幅などをまとめて設定しますが、決済トレールはその中のオプション項目という位置づけです。チェックを入れると、設定した利確幅に届いた後の決済が、その通貨ペアのトレール幅に従って相場を追いかける挙動に変わります。
トレール幅は自分で入力する欄ではなく、通貨ペアごとに自動で適用されます。だからこそ、発注前に自分が選んだ通貨ペアのトレール幅がいくつなのかを把握しておくことが、効果を読むうえで重要になります。
チェックを入れる前に、その通貨ペアでトレンドを狙うのか、レンジで往復を取るのかという狙いをはっきりさせておくと、オンにすべきかの判断がぶれません。狙いが定まらないまま発注すると、機能が裏目に出やすくなります。
運用中の切り替えと保有ポジションの扱い
すでに動いている設定を見直す場合は、トラリピ管理表から該当の設定を選び、決済トレールのオン・オフを切り替えます。トレンドが伸びそうな局面ではオン、もみ合いが続きそうならオフ、と相場観に合わせて調整する使い方が現実的です。
注意したいのは、切り替えがこれから成立する新しい注文に効く点です。すでに保有しているポジションの利確方法を今すぐ変えたい場合は、管理表の表示を確認したうえで、必要なら手動決済も選択肢になります。切り替え直後の動きは履歴で必ず確認しておきましょう。意図せず古い設定のまま動いていた、という行き違いを防げます。
効果が出る条件・出ない条件を数値で見分ける
決済トレールが得になるか損になるかは、自分が想定している値動きの幅とトレール幅の大小で判断できます。トレール幅以上に相場が一方向へ伸びる見込みがあるならオン、運用レンジの中で往復する想定ならオフ、という線引きです。
判断の目安
マネースクエア公式でも、決済トレールはトレンド相場での利益拡大をねらう機能と位置づけられ、レンジ相場での利用は推奨されていません。想定する一方向の値動きがトレール幅を上回るときだけオン、というシンプルな基準で考えると迷いません。
トレンド相場では利益の上乗せが効く
相場が一方向へ伸び続けるトレンド局面では、決済トレールが本領を発揮します。利確幅に届いた後も利確位置が相場を追いかけるため、通常決済なら早々に終わっていた利益を、トレンドの天井近くまで引っ張れます。週足・日足で明確に方向が出ている、金利差や金融政策で一方向に動きやすいといった局面はオンが向きます。
目安として、想定する一方向の値動きがトレール幅(対円なら0.200円)を十分に上回るなら、追加の値動きを使って利益を伸ばせる余地が大きくなります。逆にこの条件を満たさない相場では、メリットがほぼ出ません。トレンドの強さに自信が持てないときは、無理に伸ばそうとせず通常決済で確実に利益を拾うほうが、トータルでは安定しやすくなります。
レンジ相場では取りこぼしが上回る
トラリピは本来、一定の値幅を往復するレンジ相場で利確を積み重ねる手法です。ところが決済トレールをオンにすると、利確幅に届いてもトレール幅ぶん余計に動かないと決済されず、レンジの上限で反転して含み益が消えるという取りこぼしが起きやすくなります。
運用レンジの片道の値幅がトレール幅と同程度かそれ以下しかない設定では、トレールが決済を邪魔する側に回ります。この場合はオフにして、本来のコツコツ利確を優先したほうが安定します。決済トレールは万能の上乗せ機能ではない、と理解しておくことが大切です。トラリピの強みはレンジでの回転数なので、その回転を止めてまでトレンドを狙う価値があるかを、相場ごとに見極める姿勢が求められます。
通常決済と決済トレールの使い分け方
決済トレールは「常時オン」でも「常時オフ」でもなく、相場の局面に合わせて切り替えるのが基本の考え方です。どちらか一方に固定すると、その相場では強くても別の相場では弱点が出てしまいます。トレンドとレンジは交互に訪れるものなので、機能を固定するより、相場の性格に合わせて使い分ける前提で構えておくほうが成績は安定しやすくなります。
普段はオフ・トレンド局面だけオンが基本
トラリピはもともとレンジ相場で利確を積み重ねる手法なので、平常時はオフにして通常決済で回すのが土台になります。そのうえで、週足や日足で明確な方向が出て、トレンドが続きそうだと判断できた局面に限ってオンに切り替える、という使い方が無理がありません。トレンドが一服してレンジに戻ったと感じたらオフへ戻します。
この切り替えを面倒に感じる人は、最初からオフのまま運用し、決済トレールは「使わない選択肢」と割り切るのも十分にありです。取りこぼしリスクを負ってまで上乗せを狙うかは、運用に割ける時間と相場観しだいで決めればよい部分です。チャートを頻繁に見られないなら、無理に切り替えを狙わずオフで安定させるほうが結果的に楽なこともあります。
含み損を抱えた局面では慎重に判断する
含み損を抱えているポジションが多い局面では、決済トレールの判断はより慎重にしたいところです。トレールは決済を後ろ倒しにするので、含み損が膨らむ方向に相場が動いている最中にオンのままだと、利確のチャンスをさらに遠ざけてしまう場合があります。
相場が逆行しているときは、まず通常決済で着実に利確を拾い、ポジションと証拠金の状態を整えるほうが優先度は高くなります。決済トレールはあくまで余裕がある局面で利益を伸ばすための機能と位置づけ、苦しい局面で無理に使わない判断も大切です。証拠金に余裕がない状態で保有を延ばすと、思わぬ値動きでロスカットに近づくこともあるため、守りを固める場面ではオフが基本です。
通貨ペア別トレール幅と向き不向きの判断基準
決済トレールの効き方は、運用する通貨ペアによって変わります。トレール幅が通貨ペアごとに固定されているため、同じ決済トレールオンでも取りこぼしの大きさが違ってくるからです。
0.200円
対円通貨ペアのトレール幅(南アフリカランド/円・トルコリラ/円・メキシコペソ/円を除く・変更不可)
出典: マネースクエア「決済トレール」(公式)(2026年6月時点)
通貨ペアごとのトレール幅を正確に押さえる
トレール幅は0.2円と一括りに説明されることが多いですが、実際は通貨ペアによって異なります。高金利通貨ほど幅が狭く設定されている点に注意してください。ここを正確に把握しておかないと、取りこぼしの大きさを見誤って判断してしまいます。下記で公式の数値を通貨ペア別に確認し、自分の運用に当てはめてみましょう。
対円通貨ペアと高金利通貨で幅が違う
対円通貨ペア(ドル/円やユーロ/円など)のトレール幅は0.200円で、利確後に20pips前後の追加の値動きが必要です。一方、南アフリカランド/円とトルコリラ/円は0.100円、メキシコペソ/円は0.050円と、高金利通貨ほど幅が狭く、少しの追加の値動きで決済が成立します。対円以外(ドルストレートなど)は0.00200が幅になります。
幅が狭いほど取りこぼしは小さくなる反面、トレンドで伸ばせる余地も小さくなります。自分の運用通貨ペアのトレール幅を確認し、その幅ぶん余計に動いても決済が成立するかを基準に向き不向きを判断しましょう。同じ決済トレールでも通貨ペアによって効き方が変わるという事実を、まず押さえておくことが判断の出発点になります。
自分の利確幅とトレール幅を並べて考える
判断を一段わかりやすくするコツは、自分が設定している利確幅と通貨ペアのトレール幅を並べて見ることです。たとえば対円で利確幅を0.4円に設定しているなら、トレール幅0.2円ぶん余計に伸びてようやく決済される、と具体的にイメージできます。トレンドが続く前提なら上乗せは魅力ですが、レンジで反転が多いなら、その0.2円が毎回の足かせになります。
高金利通貨はトレール幅が狭いぶん取りこぼしは小さいものの、長く保有するとマイナススワップやレートの下落リスクと向き合うことになります。トレール幅・利確幅・スワップ方向の3つをセットで見ると、自分の設定に合うかどうかの解像度が上がります。
通貨ペア別に向き不向きをイメージする
同じ決済トレールでも、選ぶ通貨ペアによって「使う価値があるか」の感触は変わります。代表的な通貨ペアを例に、どんな運用なら噛み合うのかを具体的にイメージしてみます。トレール幅の広さ、スワップの向き、値動きの性格はペアごとに違うので、抽象的な向き不向きではなく、自分が運用している通貨ペアに引き寄せて考えることが判断の近道になります。
対円メジャー通貨での使いどころ
ドル/円やユーロ/円といった対円メジャー通貨は、トレール幅が0.200円です。値動きが大きく方向感が出やすい局面では、20pips前後の追加の値動きを使って利益を伸ばせる余地があります。金融政策の転換などで一方向に動きやすいテーマがあるときは、決済トレールの上乗せが効きやすい通貨ペアと言えます。
ただし、はっきりしたレンジ相場に入った局面では、その0.200円が毎回の取りこぼしにつながります。対円メジャーで使うなら、相場の方向感がはっきりしているかを毎回確認し、もみ合いに入ったらオフへ戻す運用が前提になります。値動きが大きいぶん効果も取りこぼしも大きく出やすいので、相場の見極めがそのまま成績に響く通貨ペアと言えます。
高金利通貨での使いどころ
南アフリカランド/円・トルコリラ/円・メキシコペソ/円といった高金利通貨は、トレール幅が0.050〜0.100円と狭めです。少しの追加の値動きで決済が成立するため、取りこぼしは小さく済みます。スワップ狙いの買い運用と相性がよく、保有を続けてもプラススワップが積み上がる方向なら、トレールで利益を伸ばす効果を素直に受けやすくなります。
一方で高金利通貨は急落のリスクや長期的な下落トレンドを抱えやすいので、トレールで保有が延びている最中に値が崩れると、含み損が膨らむこともあります。スワップ・値動き・トレール幅の3つを合わせて、無理のない範囲で使うのが安全です。スワップ収入だけに目を奪われず、下落リスクとのバランスを忘れないようにしましょう。
決済トレールにありがちな誤解を整理する
決済トレールは「使えば利益が増える便利機能」と紹介されることがありますが、その理解だけで運用すると取りこぼしの原因になります。よくある誤解を2つ整理しておきます。
「常にオンが得」という誤解
決済トレールは利益を伸ばす機能なので、常にオンにしておけば得をすると考えがちです。しかし利益が伸びるのはトレンドが続く局面に限られ、レンジ相場ではトレール幅ぶん決済が遅れて取りこぼしが増えます。トラリピが得意とするのはむしろレンジ相場での利確の積み重ねなので、常時オンは本来の強みと噛み合わない場面が多くなります。
常にオンが得という前提を捨て、トレンドが明確な局面でだけオンにするほうが、トラリピ全体の成績は安定しやすくなります。機能のオン・オフは相場ごとの判断材料として持っておくのが現実的です。
「トレール幅は調整できる」という誤解
裁量のトレーリングストップに慣れていると、トレール幅も自分で細かく調整できると思いがちです。しかしトラリピの決済トレール幅は通貨ペアごとに固定で、利用者が変更することはできません。だからこそ、自分の運用通貨ペアの幅がいくつなのかを把握し、その幅を前提に向き不向きを判断する必要があります。
幅を変えられない以上、調整できるのは通貨ペアの選択と利確幅、そしてオン・オフのタイミングです。固定のトレール幅に運用を合わせにいく、という発想で設定を組み立てると判断がぶれません。
よくある質問で残った疑問を解消する
決済トレールは仕組みが独特なので、運用前に疑問が残りやすい機能です。下のFAQで頻出の3点を確認しておきましょう。
Q. 設定すると必ず利益が増えますか?
増えるとは限りません。トレンド相場では伸ばせますが、レンジ相場では利確位置が遠ざかり取りこぼしが増えます。
Q. トレール幅は変更できますか?
変更できません。対円0.200円、ランド/円・リラ/円0.100円、ペソ/円0.050円、対円以外0.00200で固定です(公式)。
Q. 途中でオン・オフを切り替えられますか?
切り替えられます。反映は新しい注文が基本で、保有分は必要なら手動決済します。
設定前に確認したいチェックポイント
決済トレールをオンにする前に、相場・スワップ・通貨ペアの3点を確認しておくと、取りこぼしや想定外のコストを避けやすくなります。
確認すべき3点の中身を押さえる
確認したいのは相場・スワップ・通貨ペアのトレール幅の3点です。第一に相場で、トレンドが続く見込みがあるか、それともレンジで往復しそうかを見ます。第二にスワップで、運用している方向がプラスかマイナスかを確認します。マイナススワップなら保有長期化が効いてくるのでオフが無難です。
第三に通貨ペアのトレール幅で、その幅ぶん余計に動いても決済が成立する相場か、利確幅とのバランスを照らし合わせます。
各項目に当てはまるほど決済トレールが活きる運用と言え、外れる項目が多いならまずはオフのまま通常決済で運用するのが無難です。これらは一度確認して終わりではなく、相場が切り替わるたびに見直す前提で持っておくと、判断がその時々の相場に合ったものになります。特にスワップの向きと通貨ペアのトレール幅は、運用を始めてから変わることもあるため、定期的にチェックしておくと安心です。
判断は段階的に進めると失敗しにくい
3点がそろってトレール向きだと判断できたときだけオンにし、ひとつでも怪しければオフのまま様子を見る、という慎重な順番が取りこぼしを抑えます。設定はいつでも切り替えられるので、最初から完璧を狙うより、相場を見ながら調整する前提で構えておくと気持ちが楽になります。下のチェックリストで、自分の運用が向き不向きのどちらに寄るかを最後に確認してください。
判断に迷ううちは無理にオンにせず、まず通常決済で運用の感覚をつかむことをおすすめします。慣れてきたら、トレンドが明確な局面に絞って試し、結果を振り返りながら使いどころを広げていくとよいでしょう。
逆に、何度試しても取りこぼしのほうが目立つなら、自分の運用スタイルには合わないと割り切り、オフで運用し続けるのも立派な選択です。機能を使うこと自体が目的ではなく、トータルの成績を伸ばすことが目的だと忘れないようにしましょう。
決済トレールが向いている人・向かない人
向いている人
- トレンドが続く相場を狙って利益を伸ばしたい人
- プラススワップの方向で運用している人
- 運用レンジの値幅がトレール幅より広い設定の人
向かない人
- 狭いレンジでコツコツ利確したい人
- マイナススワップの方向で運用している人
- 値幅がトレール幅と同程度しかない人
決済トレールは相場・スワップ・通貨ペアの条件が噛み合って初めて効果が出ます。まずはオフで運用し、トレンドが明確な局面で通貨ペアのトレール幅を確認してオンにする使い方が現実的です。
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