こんにちは、ゼロサラ(@zero_sala)です。
FXのファンダメンタルズで経済指標同様に非常に重要な要人発言。
要人発言とは何か、要人発言の重要ポイント、特に注目すべき13人の要人、過去の要人発言による相場変動、要人発言を確認可能なサイトの紹介をしています。
要人発言とは
為替相場は様々な要因で値動きを続けていますが、その中の重要な要因の1つである要人発言。
要人発言は国の経済政策を担っている大臣や、金融政策を担っている中央銀行の総裁やその関係者の発言のことです。
要人発言によって、その国の景気の現状や今後の見通しが明らかになるので、為替相場にも大きな影響を与えます。
特に重要な人物の要人発言は相場へ大きな影響を与えるため、FXのファンダメンタルズ分析において非常に重要です。
要人発言の重要ポイント
タカ派とハト派
要人発言をする要人には、タカ派とハト派がいることを理解してください。
タカ派
強硬的な政治信条を持つ人を指します。
通常タカ派は、経済状況に対して強気な姿勢であることが多いです。
インフレ懸念があるため、利上げや金融引き締めを積極的に支持します。
ハト派
タカ派に比べて強硬的な信条を持っておらず、経済状況に対して慎重な見方をすることが多いです。
利上げには反対の姿勢を、金融緩和を行なっている場合は、金融緩和の継続に賛成の姿勢をとります。
織り込み済み
要人発言が織り込み済みとは、要人発言の前にすでに要人発言が予想され、相場に織り込まれている(反映されている)ということです。
タカ派として非常に有名な要人にFRB(米連邦準備制度理事会)のパウエル議長がいます。
パウエル議長はFOMCで要人発言をしますが、タカ派なので利上げに賛成する旨の発言をする可能性が高いです。
そのため実際にパウエル議長が要人発言をする前に「パウエル議長なら金利を上げる旨の発言をするだろう」という予想を織り込んで、ドルが上がります。
サプライズに注意
タカ派がハト派のような発言をすることや、ハト派がタカ派のような発言をすることをサプライズと呼びます。
タカ派のタカ派らしい要人発言や、ハト派のハト派らしい要人発言は織り込み済みであり、相場に大きな影響を与えません。
しかしタカ派がハト派のような発言をしたり、ハト派がタカ派のような発言をしたりすることはイレギュラーな事態であり、相場に大きな影響を与えます。
例えば前述のタカ派のパウエル議長が発言する前には、織込み済みの相場でドルが上がっていることが多いです。
しかしタカ派のパウエル議長がハト派のような発言をすると、一気にドルが売られてドルが急落することがあります。
サプライズは相場に大きな影響を与えることが多いので、注意してください。
注意すべき要人一覧
FRB議長(タカ派・中間派)
FRB議長はアメリカの中央銀行議長のことです。
2019年3月現在はジェローム・パウエルがFRB議長を務めます。
米ドル利上げの時期・ペース、景気の良し悪し、インフレ・デフレなど非常に多くの経済状況に関するトピックに言及するため、最も重要な要人発言の1つです。
年に8回あるFOMCのほか、様々なタイミングで発言します。
どれも相場に大きな影響を与える可能性があるので注意してください。
なお以前はタカ派とされることが多かったパウエル議長ですが、現在ではハト派の発言をすることが多く、中間派だとされることもあります。
要人発言のタイミング:年に8回水曜日と木曜日
米財務長官(中間派)
アメリカ合衆国の財務省長官です。
2019年3月現在はスティーブン・ムニューシンが務めます。
要人発言があるのは他国との会合時など様々なため、確認が遅れてしまいがちです。
しかし中間派なので、ムニューシンの発言でサプライズが起きて、極端に相場が動くことはあまりありません。
要人発言のタイミング:様々
地区連銀総裁(タカ派・中間派)
アメリカを12の地区に分け、それぞれの地区を管轄するのが地区連銀(連邦準備銀行)です。
1年に8回、連邦公開市場委員会の2週間前の水曜日に、地区連銀景況報告が行われます。
地区連銀景況報告の中でも、サンフランシスコ連銀総裁のジョン・ウィリアムズは、以前は中間派色が強かったものの、タカ派傾向が強まっているため発言に注目してください。
要人発言のタイミング:連邦公開市場委員会の2週間前の水曜日
ECB総裁(中間派・ハト派)
ECBは欧州中央銀行のことです。
2019年3月現在はマリオ・ドラギが総裁を務めます。
ユーロ圏の金融政策を決定する理事会が2週間に1回開催され、月の最初の理事会では政策金利が発表されるため、非常に重要です。
要人発言のタイミング:2週間に1回
MPC委員(中間派)
MPCは英中銀金融政策委員会のことです。
マーク・カーニーが総裁を務めます。
後述するように過去には、カーニーの要人発言が相場の大きな変動を発生させました。
要人発言のタイミング:毎月上旬の水曜日と木曜日
日銀総裁(中間派)
日本銀行の総裁です。
2019年現在、黒田東彦が務めています。
黒田総裁は過去にドル円に非常に大きな影響を与える発言を2回しており、ドル円が約4円の円高になったり、ドル円が約4円の円安になりました。
金利政策決定会合時の黒田総裁の発言には特に注意してください。
要人発言のタイミング:年に8回水曜日と木曜日
財務大臣(中間派)
日本の財務大臣です。麻生太郎が務めています。
要人発言のタイミング:様々
RBA(中間派)
RBAはオーストラリア準備銀行のことです。
市場予想を上回る利上げや利下げを行ったり、金利の上げ下げにサプライズを持たせたりことがあるため、注意してください。
要人発言のタイミング:毎月第一火曜日
RBNZ(中間派)
RBNZはニュージーランドの準備銀行です。
ニュージランドドルは金利が高い通貨なので、金利を下げる旨の発言などには注意してください。
要人発言のタイミング:年8回水曜日
著名投資家
以下のような著名投資家は、影響力が非常に強いうえに、いつ要人発言をするのかわかりません。
経済情報を取り扱うニュースサイトやFXのポータルサイトなどをこまめにチェックするのが重要です。
- ジョージ・ソロス(ハト派)
イングランド銀行を潰した男の異名を持つ投資家です。
ソロスの発言で相場が動く場面は珍しくありません。 - ウォーレン・バフェット(中間派)
世界最大の投資持株会社の「バークシャー・ハサウェイ」の筆頭株主、会長兼CEOです。 - ヌリエル・ルービニ(中間派)
アメリカの経済学者です。他の経済学者や投資家が気づかないうちから、サブプライムローンに端を発する世界金融危機を予言し的中させたことから、相場に強い影響力を持ちます。 - 米倉弘昌(中間派)
日本の経団連の会長です。
要人発言による過去の相場変動
ECBドラギ総裁
ECBのドラギ総裁の要人発言は幾度も相場に大きな影響を及ぼしてきました。
その中でも記憶に新しいのが、2018年6月14日にドラギ総裁は「来年夏までは利上げしない」という旨の発言をします。
それを受けた投資家がユーロを失望売りし、一夜でユーロドルが約300pips暴落しました。
日銀黒田総裁
2016年4月22日にニュースサイトで「日銀関係者が、日銀はマイナス金利を実施する可能性を示唆した」という内容の報道が流れます。
それを受けて円安になりますが、28日に黒田総裁は日銀の為替介入の見送りを発表し、400pipsほど円高になりました。
MPCカーニー
2018年4月20日にカーニー総裁が「数年間に数回の利上げが実施されるとの心構えが必要」としつつも「来月の利上げは既定路線ではない」と発言。
その結果ポンド円は、18日の高値153.60円代から、約250pips下落しました。
要人発言はどこで確認できる?
FX経済指標発表予定|FX初心者への為替情報
非常に網羅性が高いですが、かえってどれに注目すべきかわかりにくいこともあります。
上級者向けです。
有名FXブロガーの羊飼いが、その日の経済指標や要人発言を指南しています。
網羅性は低くなりますが、数が少ない分初心者の方でもわかりやすいです。
上の2つは要人発言と経済指標の両方を扱っていますが、このサイトでは要人発言だけをピックアップして確認可能です。
要人発言時の対応
要人発言があると、相場が大きく動きます。
ボラリティの低い相場で大きく利益を出すのは難しいので、相場が動く要人発言や経済指標発表を「祭り」といって利益を出すチャンスだという人は多いです。
しかし相場が大きく動く時には、損をする時には大きく損をします。
さらに要人発言の際には相場に市場参加者の思惑が現れるため、素直な動きをしないことが多いです。
要人発言の際に利益を出すのは難しいため、初心者の方には要人発言前にポジションを解消することをおすすめします。